歳を重ねて、お酒を飲む事の意味が変わってきた気がしている。
お酒自体を味わうようになったと言ったらいいか。
若い頃には、今では考えられない大量のお酒を飲んでいた。
仕事帰りには毎日居酒屋で宴会をし、友達と会うときはたいてい居酒屋に集まった。
女の子と夜のデートをする時は、洒落たお店で必ず乾杯した。
ビール、カクテル、サワー。
一通り何でも飲んだが、。たいていは安いものばかり。
お酒を美味しいから飲んでいたわけではなく、誰かと一緒に過ごす為にお酒を飲んでいたように思う。
要するに、人とコミュニケーションをとるための手段、ツールとしてお酒があっただけで、お酒自体を味わうことはなかったと思う。
実際、1人で飲みに行くことはなかったし、家に帰って飲むことも決してなかった。
元々、お酒を好きではなかった。
よく「お酒が好きというわけではないけど、飲み会のあの雰囲気が好き!」と聞く事があるが、僕の若い頃はその通りだった。
とは言っても、楽しいばかりではない。
泥酔して道端で夜を明かしたこともあり、ケンカになって血だらけになったことも。
思い返してみれば、よく無事で生きてこられたものだと、思う。
今では、ビールがメインだが日によって日本酒飲むこともあるし、ウィスキー、ワイン、焼酎も飲む。
50代になると自分の体の許容量も心得ているので、ほろ酔い程度に飲む。深酒はしない。
最近つくづく思うのは、お酒は美味い!ということ。
そう思うようになったきっかけは日本酒だった。
仕事の付き合いでちょっと高級な居酒屋で「十四代」に出会った。
”水のよう”というのが、その時の印象だった。
水のように薄いという意味ではなく、水のようにするりと飲めてしまうという意味だ。
喉でひっかかることなく、するりと飲める。日本酒に抱いていた少し生臭い感じもなかった。
「美味しい!!」
その日から日本酒を好んで飲むようになる。
家ではもっぱらビールオンリーだったが、日本酒を買って帰るようになった。
酒屋に寄っては五合瓶(720ml)の手頃な価格帯のものを選んで飲んだ。
その中でも一番気に入ったのは
「越後桜 大吟醸」 900円台
新潟のお酒で、「辛口」とあるがフルーティーで飲みやすい。
値段もお手頃だし、可処分所得の少ないサラリーマンに優しい。
もっと優しいというのが
「そろそろ純米酒」 2L 900円台
純米酒なので醸造アルコールが入っていない。
半信半疑で飲んでみたが、まろやかなで美味しい。
紙パック系日本酒は数あれど、この系列では№1であった。
この値段でこの味なら文句なし。飲んでも飲んでも減らない(実際には減っているのだが)ようなこの量。
お次はワンカップ系。
「OZEKI One CUP」300ml 250円程度
ワンカップ系の日本酒が数少ないが、その中で一番がコレ。
飲み過ぎたくない時、仕事帰りに1本買って帰る。
一酒入魂、大事に飲む。
アルコールっぽさはあるが、”今日はこれだけ”と思って飲むと、
「美味い」と唸らずにはいられない。
普段飲みとしては、上記3点くらいが妥当な線。
安くて十分「美味い!」と唸ることが出来る。
もちろん、夢見て憧れる酒もある。
外食して日本酒のある店に行ってあると嬉しいものは。
「十四代」 1杯 1,000~3,000円
山形県のお酒。
一升瓶で買ってみたいが、さすがに無理。2~3万は軽くいく。
居酒屋でも置いている店は限られてくるので、年に何回かの贅沢品。
仕事絡みの経費で飲みたいが、今のご時世(コロナ禍)にあっては、経費は使えない。
”水のよう”な飲みごたえに思わず
「美味い!!!」
なんといってももっきりで飲みたい。
ああ、想像しただけで涎が出てくる。
次に特別な酒と言えば
「田酒」 1杯 700~1,500円
青森のお酒。
まろやかな甘みのある、飲みやすいお酒だ。
これもあまり置いている居酒屋少ないので、あった時には絶対に飲んでしまう。
酒屋にいくと無数の日本酒が並んでいる。
きっと死ぬまでに全てを飲み尽くすのは無理だろう。
”今日飲みたいお酒”、”特別な日に飲みたいお酒”。
どれもそれぞれに味わいがあり、「美味い」と思える。
誰もそばにいなくともいい。一人「美味い」と呟きながら、静かに飲む酒が、今は大好きだ。