50代の不眠~終わりなきお薬とのお付き合い

ライフ

「眠れない夜」はかわいいものです

「眠れない」悩みは若い頃から、時々はありました。

ベッドに入ってから寝付けない。

夜中の1時、2時、3時… と、悶々と時間が経つのを持て余す。

そのうち意識も遠のいて、寝ているような起きているような、うつらうつらした感覚の中で、気が付いたら朝を迎える。

寝不足であることは明らか。

「最近眠れないんでよね…」なんて、口癖のように言ったものです。

このような症状を専門用語では「入眠障害」というようです。

市販の睡眠導入剤を飲んでみては、”眠れた” ”眠れなかった”とその時々に一喜一憂していました。

今思うと、これはかわいいもんでした。

なぜなら、寝ているようで起きているような感覚の中で、結局は眠っていたんですよね。

朝、寝不足感はありますが、実はちゃんと眠れていたのです。3時頃から7時頃まで、4時間は眠れていたんです。

もうひとつ、2,3日そんな夜を続けると4日目にはストン眠れてしまう。

10時くらいにストンと寝付いてしまうんですよね。

2,3日分の寝不足が、4日目には解消されて以降は普通に眠れるようになるのです。

これは「入眠障害」とかのレベルではなく、ただ「寝付きが悪い」だけの事だった。

何かちょっと興奮するような出来事があって、一時的に寝付きが悪くなっただけのことだった。

 

 

「早朝覚醒」から「中途覚醒」

本当の不眠の苦しみを知るのは、うつ症状を発症した頃です。

正直のところ、うつが先に発症して不眠症状をもたらしたのか、不眠症状から始まってうつ症状に至ったのかはよくわかりません。

   

”寝付きが良くない”症状は1,2時間悶々とするだけで「ああまた寝付きが悪くなってるんだな」程度で気にもしませんでしたが、新たな状況が生まれてきました。

朝、起きる時間が早くなる

日に日に起きる時間が早くなっていくのです。

いつもは6時に起きていたのが、5時に、4時に。

やがて3時台には目が覚めるようになり。

その後眠ろうとしても眠れません。それではスッキリ起きているのかというと、そうではない。

眠いんです

なのに、眠れないまま、悶々としたまま一日が始まっていく。

これが、「早朝覚醒」というものだったのです。

そこから次の段階に移るのに、そう時間はかかりませんでした。

断続的に目が覚めるようになっていきます。

2時半→3時半→起床(?)。

初めは1時間起きに目が覚めるようになって、やがてその感覚が短くなっていきます。

2時→2時半→3時→3時半→起床(?)。

そして、覚醒する時間もどんどん早くなり最後には、

11時入眠 → 12時→12時5分→12時10分→12時15分…。

少し極端に書きますが、入眠してから1時間も経たずに覚醒し、その後5分置きに入眠と覚醒を繰り返すようになります。

寝て目が覚めると”5分しかたっていない” 状態が一晩中続くのです。

これが、「中途覚醒」 と言われるものでした。

この頃になると、夜ベッドに入るのが恐怖となって行きます。

目が覚めて時計を見る瞬間に「どうか朝の6時であってくれ!」と願うのですが、現実は数分しか経っていない。

眠る感覚を失っていく絶望感があります。

デジタル時計の表示を見て、泣きたくなりました。

隣で寝ている妻を起こすわけにもいかず、静かにリビングにいってソファで横になってもみたりもしました。

寝る場所を変えて少しでも改善しようと試みたのですが、短い睡眠と覚醒を繰り返すだけ。

そこに夢が混ざるとありもしない幻覚(夢の映像)が現れてきます。

髪の毛の長い女性が肩を揺すってくる。毛むくじゃらの生物が目の前でうごめいている。

寝ているのに起きている

こんな夜が、毎夜繰り返されていくのです。

この時期は昼間の生活にも支障が現れます。

常に頭はぼんやりとしている。眠い。

うつ症状も重なってやる気が全くでてこない。

仕事はその場をやり過ごすだけ。すぐにやらなければならい事だけに手を付け、常に時間に追われるようになっていきました。

デスクの上には未処理の書類が積み重なっていく。

私が心療内科に行くことを決めたきっかけは、そんな頃でした。

うつについては別の記事に書きます。

 

そして終わりなき投薬治療へ

病院で抗うつ剤と睡眠薬を処方され、現在に至る”薬”生活に入ります。

睡眠薬はその日から効きました。

寝る前に薬を飲んでベッドに入ると、何を考える間もなくストンと眠れたのでした。

中途覚醒と早朝覚醒だけはすぐには良くなりません。

ただ、中途覚醒の感覚が徐々にのびていって、5分間隔→30分間隔→1時間間隔→2時間間隔くらいまでになりました。

早朝覚醒も徐々によくなりましたが、日によっては3時台に起床の時もあり、これは薬を飲み続けても相変わらず続いています。

ですが、何より、起床後のスッキリ感が変わりました。

薬を飲むことで、明らかに睡眠が改善され、朝、スッキリと目覚めることが出来るようになったのは事実です。

薬の凄さについて、もうひとつ。

”飲まなかったら逆戻り”

薬で睡眠が改善されたことで安心してしまい、薬を飲まずに寝てみたことが何回かありますが、薬を飲んだ時が効果てきめんだったのと同じように、飲まなかった時の効果もてきめんで、また、入眠障害、早期覚醒、中途覚醒に逆戻り。一夜にして逆戻りなのです。

当たり前の事なのでしょうが、まさかこれほどまでに違いがあるのかと、驚きました。

 

一度、妻と1泊旅行に出かけた時、薬を持っていくのを忘れてしまったことがありました。

ホテルの部屋で眠れず、挙句、夜中にありもしない幻覚を見て叫び出してしまい、妻も十分に眠ることができず、散々な旅行となってしまいました。

あれ以来、旅行に行く時、家を出る前に必ず妻は薬を持ったかを必ず確認してくるようになりました。

なんだか、病人みたいですね…。 病人なんでしょうけど…。

「私には持病がある」と開き直って

病院に通うようになってすでに6年以上が経ちました。

月に一度の通院です。

薬を処方されるためだけの通院です。

なぜなら、「向精神薬」を処方できる期間は決まっているからです。

抗うつ薬、睡眠薬は30日分しか処方できません。

これは、乱用・依存、悪質な転売等を防ぐためだそうです。

また、定期的に症状の観察が必要だからという意味もあるそうです。

実際、診察によって薬の種類も様々変化してきました。

症状が重い時は、より効果の高い薬を処方されました。

薬とは万能薬ではありませんから、効果が高ければ副作用も強い。

特に抗うつ薬の副作用は辛かった。副作用で病気になるのでは?と思うくらいでしたね。

症状が改善されてからは効き目の弱い=副作用も弱いものに変わっていき、少しでも症状が悪化すると辛い副作用薬に逆戻り。 その繰り返しが6年以上続いていることになります。

果たして薬を飲まなくてよくなる日がくるのか?つまりは通院しなくてよくなる日がくるのか?

と考えることはしなくなりました。

世には様々な病があります。

高血圧、糖尿病、ガン、などなど…。

みな、それぞれに病と闘っているのでしょう。

私にもそんな病がある。そう思って、付き合っていくしかないかな…

と考えるようになりました。

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