50代の副業、セブンイレブンやってみた

ライフ

もうすぐ50歳になろうかという時、コンビニでバイトすることにした。

正業はある。だから、副業、Wワークである。コンビニでのバイト経験はない。

 

  

正業を持ちながらコンビニバイトをするに至った経緯を記しておく。

当時会社の命令で地方都市に転勤していた。仕事量も少なく、ほぼ毎日定時に仕事を終えて19時前には帰宅するという生活になった。土日に出勤することもなくなった。

つまりは、

”正業での拘束時間が減る” ⇒ ”可処分時間が増える”

これだけなら、副業をしようということにはならない。

”正業での拘束時間が減る” ⇒ ”残業が減る” ⇒ ”給料が減る”

厳密には残業が減っただけで給料が減ったわけではない。自分の会社では首都圏勤務には物価高等を考慮し手当が出るが、地方勤務ではそれがなくなるため、給料が減る結果となる。

まとめるとこういうことだ。

”正業での拘束時間がへり、同時に給料も減る” ⇒ ”可処分時間は増える、可処分所得は減る” 

⇒ ”趣味などに費やせる時間は増えたが、趣味などに費やせるお金がない”

というわけで、

趣味で時間を潰すよりは副業で時間を潰してついでにお小遣いを稼いでしまおう」

と、なった。

 

早速副業探しをやってみた。

条件は、

・会社が休みの土曜日か日曜日のどちらか1日あるいは、土日2日の短時間ずつ。

・特別な技能を有しているわけではないので、誰でも出来るような単純作業。

ネットでは様々なバイト情報が氾濫しているが、探してみて実感する。

50代で出来る短時間の仕事は少ない。

 

まずは、「工場内軽作業」。これは派遣雇用。工場内の商品管理の軽作業もしくは袋詰めなどの内職系作業がメインのようだ。

実際、履歴書を持って面接に行ってみた。

ひとおり説明を聞いたが感触は良くなかった。土日のみの短時間というのと年齢が関係しているのは明らかだった。

「あまり適当な案件はないのですが…」

担当者の男性の歯切れが悪い。

連続4~5日フル勤務ができるようであれば問題ないような感触であった。

結局、案件があったら連絡をくれることになったが、結局それきり連絡はなかった。

 

次に多いのがスーパーなどの小売店での軽作業。主婦などがメインで働くことが多い。

時給は最低金額。

  

それから、コンビニ。コンビニはほぼ全ての店舗が求人を出していた。

 

 

よくよく考えた結果、コンビニに応募することにした。

セブンイレブン。

決めた一番の理由は、セブンイレブンであれば全国にある。ほぼ全国共通のオペレーションをしているはずであり、仕事を覚えてしまえば全国どこのセブンイレブンでもバイトが出来るようになるのではないか。

ということだった。いつか正業をリストラになった時、すぐにでも働くことが出来る。

面接では店長の女性(オーナーの奥さん)が、不安そうにしていた。

「本業あるのに、大丈夫ですか…?」

明らかに50歳になるおじさんに対する警戒感があった。どうやら男子のバイトは若い学生くらいしかいないらしかった。

ただ、人手不足で背に腹はかえられない感で採用となった。

 

土曜日13時~18時、日曜日6時~9時というシフトで働くこととなった。

再び首都圏への転勤が決まるまで、ほぼ1年間続けた。

先に結論から言うと、きつかった

辞める時には、もうしたくないな…と思った。

レジ会計業務、接客業務はそれほど難しいことはない

初日と2日目はマニュアル通りの研修を受けた。

主にレジ会計業務の習得と接客について。

陳列されている商品の会計するのは、単純化され難しいことはない。

商品バーコードをスキャンし会計ボタンを押し、お金を受け取りお釣りを手渡す。

商品を素早く袋詰めしてお渡しする。初め商品の分量と使用するレジ袋の大きさを判別するのに手間取ったが、これは数回数をこなせばすぐに慣れてしまう。キャッシュレス決済も現金の収受よりよっぽど楽であった。

接客については、マニュアル通りに挨拶ができればよい。

「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」「またご利用くださいませ」。

慣れれば考えることなく勝手に声が出る。

  

レジ会計業務で大変なのは、フライヤー商品、おでん等の販売、宅配便などイレギュラー商品の扱いだ。

正直、セブンイレブンでのバイトを「もうしたくないな」と思った理由の大半はここにある。

イレギュラー商品の対応が大変

例えば、揚げ物、肉まん系、おでん(冬場)、切手類、金券類、タバコ、宅配便の受付。

揚げ物、肉まん系、おでんはショーケースに陳列はされているのだが、お客様が自らレジに運んでくるものではなく、バーコードをスキャンするわけではない。お客が口頭で注文してくるのを、ショーケースから取り出して専用の袋に入れて販売する。

レジにはボタンがあるのでひとつひとつ押さなければならない。

揚げ物は、フランクフルト、アメリカンドッグ、コロッケ、メンチカツ、から揚げ、フライドポテト、ナナチキ、春巻きなどど季節によるが常に多彩だ。肉まん系もしかり。おでんは冬季のみ。

それぞれに専用の袋があるので、間違えないように袋を選びトングで掴んで素早くレジ袋に入れる。醤油、ケチャップなどを付けるのも忘れてはいけない。

これら”注文”⇒”トングでとって袋詰め”⇒会計入力”を素早くやらなければならない。

文章に書くと簡単そうだが、これが実に難しい。ひとつ手順を間違えると手元が狂うか、次に何をしていのか一瞬動きが止まってしまうこともある。

何より、お客様の注文は自由だ。

いきなり

「フランクフルト3本にアメリカンドック2本、ナナチキとから揚げ1つずつ」とまくしたてられると、こちらは慌てふためく。

逆に、ショーケースの前で、

「ん~、どうしよっかな~、フランクフルト…、やっぱりアメリカンドックにしようかな…、やっぱり肉まん一つ!」

というお客様もいて、トングを持つ手が宙を彷徨う。

細かい話だが、揚げ物と肉まん系では使うトングが違う。両方の注文があったからといって、ひとつのトングで揚げ物と肉まんを掴んではいけない。

何度かこれをやってしまって、目ざといお客様には不快な顔をされる方もいた。

 

また、これらは品物によって鮮度管理が変わってくる。フランクフルトは作ってから〇〇分、ナナチキは作ってから△△分とそれぞれ決まっている。作って商品棚におさめた時間から廃棄時間を算出、ひとつ売れる度に記録、残り1~2,3個になったら新しいものを作る。この新しいものを作るタイミングも時間によって変わる。朝の8時過ぎだった残り3個になったらすぐに新しものを作るが、10時過ぎたら残り3個でもうしばらく様子見ということになる。

要はいかに「廃棄」を減らし売れる時間を見計らって数多く売るか、という商売としては至極当然のことなのだが。

これらは揚げ物に限らず、肉まん系もおでん系も同様だ。

これら鮮度管理も難しいのだが、調理もまた難しい。

調理事態はそれほど難しくはない。それぞれに「油で1分半」とか「2分半」とか決まっており、設定ボタンさえ間違わなければ自動で調理してくれる。

問題はそれらをお客さま対応をしながらこなさなくてはならないということ。

お客様ファースト

レジに二人以上並んだら、すぐにレジに戻らなければならない。

これは、揚げ物を調理していようが、肉まんを冷蔵庫から取り出しているところだろうが、とにかく、「今そこで何をしていても」常にレジが優先される。

冷凍庫からコロッケを取り出し、油に投入するためのトレーにのせたところで、

「レジお願いしまーす」

呼び出される。すぐにレジに飛び出し笑顔で接客。続けざまに団体さんがやってきて、てんやわんや。

簡単に5分、10分が過ぎて、気が付いたら揚げ物のことなどすっかり忘れてしまう。

ようやく落ち着いて一息ついてボーっとしていたところに、また声がかかる。

「なんでこんなところにコロッケ出しっぱなししてあるの??」

「それさっき揚げようとしたところなんです~」というのは言い訳にしかならない。

「忘れてましたよね?」

年下の主婦にきつくお叱りを受ける。

油の余熱でコロッケは無残な姿となっていた。

肉まんとあんまんを冷凍庫から出しっぱなしにして、しばらく放置してしまったことも度々ある。

こっぴどく怒られた。

宅配便受付

これもまた恐怖の商品だ。

当然、こちらもマニュアル化されてはいるのだが、お客様の持ち込む品物は大小様々ある。

巨大な段ボール箱の場合もあれば小さくとも思いものもある。中身の確認も大事。生鮮食品があるかないか。

サラリーマン風の男性がスーツ鞄を持ち込む場合もある。

まず”送り状に記載してもらう”⇒”重量を測る”⇒”品物の大きさを測る”。レジにて”場所、重量・大きさ”⇒”送り状に判を押し控えをお渡しする”のボタンを押す。

と、これも書く分には簡単そうだが結構時間がかかる。

タバコ

これも結構大変な一つ。

自身タバコは吸うが、自分の吸う銘柄は当然ひとつに決まっているので、他の銘柄のことは詳しくない。

何しろタバコの銘柄は200銘柄近くある。とても覚えられるものではないし、覚える必要もないだろう。

売れ筋のタバコというのは大体決まっているから、それらの位置さえ覚えてしまえばあとは、お客様に番号を指定してもらうという方法でなんとかは、なる。

ただ、タバコの注文は圧倒的に男性が多い。中にはかなりぶっきらぼうなお客様もいて、

「そんなのもわからねえのかよ」的に舌打ちをされたりもするが、その辺はお客様商売では当たり前こことか。

まあ、ぶっきらぼうと言えば、男性に限ったことではないが。

とにかくレジファースト

ざっと紹介したが、レジ会計業務以外にもコンビニの仕事は多岐にわたる。

・商品の陳列(在庫補充)、廃棄処理

・店内清掃、フライヤー器具の清掃

・商品の発注

・コーヒーマシーンの清掃

などなど。

入るシフトの時間によってもやるべき仕事内容は変わる。

僕の働いた店では「商品の発注」については、店長、オーナーの仕事とされていたのでバイトがすることはなかった。

コンビニの仕事は「コンビニ」というだけあって、多岐多彩だ。

ただ、とにかくお客さまファースト、というかレジファースト。

レジでお客さまをいかに待たせないで、商品と陳列し揚げ物を作り、店内を掃除し、コーヒーマシンの故障を直すか。

正直、レジにいて会計業務だけをするだけなら、これほど楽な仕事はないと思えた。

スキャンして袋詰めしてお金をもらいお釣りを渡す。

それだけだったなら。

短期集中、連続勤務で身体に仕事を覚えこませる

レジ業務をこなしながら、コロッケを揚げ、廃棄時間を管理し、タバコの補充をする。詰まってしまったコーヒーマシーンの調整も素早くこなす。同時に複数の仕事をこなすという部分では、やはり主婦のバイトさん達には遠く力及ばない。

そしてなにより、一番は連続して勤務する必要性だ。

僕の場合は、土日限定だったのでどうしても中5日、間があく。

せっかく手際よく動けるようになっても、1週間もすれば忘れてしまう。

月、水、金でも間を空けずに働く短時間の主婦、学生のバイトの方が手際を身に着けることが出来る。

 

 

僕と同じように土日だけバイトをしていた大学生がいて、一度同じシフトになったことがあった。

高校時代から働いているという、ある意味ベテランであったが、僕がわからないことがあったので聞くと

「僕もよくわかないので、店長に聞いてください」という素っ気ない返答だった。

何年働いても、頻度が少なければその程度なのかな、と思った。

 

 

これは自分個人の考えだが、やはり一時的にでも、半年間とかだけでも連続勤務をして仕事を体で覚えてしまうことの必要を感じた次第だ。

まあ、あくまで副業、専業にするつもりはなかったのだが。

 

再び会社の転勤が決まり、1年でセブンイレブンのバイトを卒業(?)することとなった。

後になって店長に聞いた話だが、僕がバイトに入った後に、同じように50過ぎの男性が応募してきたとのこと。

週に4,5日勤務だったらしいが、1か月続かなかったらしい。

店長が言うにはレジ業務がどうしても出来なかったとのこと。

僕が1年も勤められたことを、不思議そうにしていた。

土日2日のコンビニバイトで、月に3~4万を稼ぐことが出来た。

不足したお小遣いを補うには十分だった。

何より、50歳にして新しいことに挑戦できたことは、貴重な経験となって良かったと思っている。

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